部屋は人格形成の場 真っ当な人間性・精神の育成を大事に

部屋は人格形成の場 真っ当な人間性・精神の育成を大事に

土俵で取組練習1

人によって賛否両論あるかもしれませんが、心技体の中で何が一番大事か?と問われたならば、当部屋では「心」つまり「精神」ではないか?と捉えます。
体である身体などは、沢山鍛えて沢山食べればそれなりに大きくなっていきます。
技術である「技」も、それなりに時間をかけて鍛錬すればある程度誰でも見につくものであると思っています。
しかし「心」の部分、つまり精神の部分が歪んでいると後々やっかいなことになることが多いです。

ちなみに目的地が遠くにある場合、またその目的地が遠ければ遠いほど目的の方向が1度でも狂っていれば、いくら進んでも本来行くべき目的地には到着できないものです。

それぞれの力士の数だけそれぞれの生い立ちがあります。それぞれの力士の数だけなぜ力士になったのか?、なぜ強くなりたいのか?は大なり小なり本音の理由は微妙に違うはずです。

それが若者であれば、当然ながら崇高な理念など持っていないことは多々あることでしょう。

お金持ちになりたい、有名になりたい、チヤホヤされたい、異性にモテたい、、、

そんなこともあるでしょう。

そしてそんなことはちっとも恥ずかしいことではない、むしろ若者であれば健全でさえあるとも思えるし、そんなことはあっても無かってもどちらでもいいと当部屋では考えています。

そんなことは当たり前として、中村部屋では部屋とは「真っ当な人間性・精神の育成をはぐくむ場」だということを認識してほしいと思っています。

例えばそれはどのようなことなのか?

・自分がされて嫌な事は人にはしない
 ⇒自分がされて嫌な事は別の人がされても嫌なことが多い。
・常に感謝の気持ちを持つ
 ⇒力士をやっていると施しを受けるケースが一般の人より多い。それを当たり前と思わないこと。
・人がやりたがらない仕事、雑用を率先してやる
 ⇒人がやりたがらないことは自分もやりなくないかもしれないが、誰かがやらないといけない。
  今までも誰かがやってくれていたはずだから今がある。認識したのだから嫌々ではなく、率先して動こう。
・兄弟子、弟弟子、番付関係なく、気がついた事を指摘し合い聞き入れる素直さを持つ
 ⇒大なり小なり尊敬の念や愛情があって言い方・伝え方を間違わなければ、
  言う方も聞く方も言えるし耳を傾けられる関係になれるはずである。
  同じ内容でも尊敬の念や愛情が全くなければハラスメントになると認識しよう。
・挨拶や返事をハキハキと
  ⇒暗い日、調子の出ない日、落ち込んでいる日ほど挨拶や返事をハキハキしよう。
   最初はきつくても精神のコンディションは徐々に上がってきます。
   運気も上がる!?
・当たり前の事が当たり前のようにできるよう私自らが率先して行う。背中で見せる
 ⇒漢たるもの、言葉は少なめで生き様を背中で見せたいものですね。

のようなものが主な例であると思います。
改めて見てみると、当たり前のことが書いてあるように見えるかもしれません。とても簡単そうに見えるかもしれません。

しかし実際集団生活の場において、このような精神を常にブレずに継続維持していくのは至難の業でございます。

時に自分の結果が出ない時に、友でありライバルである力士がどんどん出世していったり、故障や怪我で自分のパフォーマンスが出し切れない場合分かっていても自分の精神を健全に保つことは本当に難しいものであります。

非常に単純であり、簡単そうに見えることが、いざ集団生活の中でやってみると本当に難しいものだということを若いうちに実感していきながら、人の傷みや気持ちの分かる、そんな人格の形成の場になることを当部屋では望んでいます。

仮にそれを真っ当な人間性であるとした場合、その人間性があれば、相撲の世界でも、また相撲の世界だけでなく違う世界に移ったとしても、世の中に求められる・必要とされる人物になるものだと思っています。人一倍、「心」つまり精神の重要性を大事に、個それぞれのしっかりとした人格形成、真っ当な人間性の育成に努めたいと思います。