預かる全ての力士を強くすることに尽力

預かる全ての力士を強くすることに尽力

指導している親方1

それぞれの力士は全国津々浦々いろんな場所からいろんな繋がりで縁あって当部屋に来ることになりました。
中学⇒高校⇒大学と渡って相撲を学んできた者、中学や高校まで学んできた者、また中学や高校を出たけど一度も相撲に触れたことの無い者、その生い立ちは様々でございます。

相撲という競技は非常にシンプルで、直径4m55cmの大きさの円の中で、足以外の相手の身体の部位を土俵につけるか、それとも円の外に出すか?を競うものであり、ルールはいたって簡単、老若男女誰が見てもしばらくすればすぐに理解できるものであると思います。

しかしたった直径4m55cmの直径の円の中で、様々な戦い方が展開されます。
そして身体が大きいものが100%勝てるわけでもないし、運動神経がいいだけでも勝てるわけでもありません。
また相撲の攻めの種類に、押し相撲や四つ相撲などがあり、押し相撲に向いている人、四つ相撲に向いている人それぞれいます。
そしてある程度学生の時に相撲をやってきた者たちは、良くも悪くもそれなりに自分なりの型を持っていたりするものです。
また一度も相撲を本格的に学んだことの無い者は型は無いですが、変な型に染まっていることもないので、これから自由に決めていくことができるというメリットもあります。

ここで何を申し上げたいのかといいますと、一人の力士を強くする方向性を示すのはその力士によって違う、バラバラであるということでございます。

その人の生い立ちや、育ち、思想なども含めるとさらに複雑化していきます。

明確に育て方として一つの答えを出すことはできませんが、弟子それぞれに向き合って、長所・短所を見極めていき、長所をさらに伸ばし、短所のデメリットを薄めていくことがまずは基本になると考えています。

そのために、普段からコミュニケーションを密に取る事を心がけ、お互いの人間性を理解し合う。心理的安全性を高め、技術的、精神的な悩みを抵抗なく相談できる関係性を築くように心がけています。

その上で、中村部屋として長年培ったこれまでの知識経験を活かし、そして時にはこれまでの知識経験を疑ったりしながら、個々の能力に適した稽古内容を見出し本人に理解させて指導する。預かる全ての力士を強くするためには最終的にこれに尽きると捉えています。

また同時に「失敗には多くのヒントがある事を教え示し、失敗を恐れず全力を出し切る事の重要性を伝える」ことに重きを置き、若いうちに早いうちに数多くの失敗を経験してもらう、失敗から個が多くを学べるということを体感していただきたいとも思っています。

願わくば個々で精進をする若い力士が増えていく中で、好循環の意識のスパイラルが形成され、個のスポーツでありながらも横のつながりの仲間もいい影響を受けてドンドン強くなっていくような部屋になってほしいと思っていますし、そうなるように裏方も部屋一丸となって尽力する所存でございます。